森羅万象と夜のしじま

読書、散歩、音楽など。

しあわせの香り

子どもの頃読んだ本の挿絵にりんごのオーブン焼きがあった。暖かさや香りが伝わるような美しい絵だったと思う。おいしそうな料理だけでなく、それが供される暖かい家庭がひどくうらやましかったことを覚えている。 当時の我が家は貧乏で、育ち盛りの私は満足…

こわされた日常

家事や仕事に追われつつも、夜は湯に浸かり、好きな音楽や書に親しむ。休みの日となれば、花鳥風月に遊ぶ。雨となれば友と美酒美食等々。 そんな日常がこのところ壊れてきた。 仕事の手を止める人が同時に二人現れるのは想定外である。人付き合いを改めて、…

カフェイン断ち途中経過

カフェイン断ちを続けている。常習していた嗜好品を断ち切ることがこんなに苦しいとは。 ハーブティーなどではとても埋めきれない心の隙間は、食欲の増大を招いている。カフェインがなく食事量が増えたことで眠気もひどい。酒量も若干増えたかも知れない。 …

嫌な女

桂望実著の『嫌な女』を図書館から借りて暇つぶしに読んでみた。テレビドラマになったほどの人気作品、つまり通俗的な作品ではある。あまり深読みしても無意味かも知れないが、いろいろと感想やら疑問が涌く。 破天荒な悪女に振り回される語り部の女弁護士や…

カルトの業

知人がSNSをはじめた。写真は、彼女の子どもの頃の家族写真だった。 一家を挙げてカルト宗教にはまり、彼女だけが脱会した。それ以来、彼女は家族を失った。何を思ってその写真を使ったのだろう。世間で言う真っ当な人生の代償は、家族の絆だった。 人を救う…

コーヒーとウオッカ

雪の日に 都心で雪がちらついた日、私は外回りに奔走していた。朝から出ずっぱりで、終えたのは15時過ぎ。 歩き回っていたのもかかわらず、全身が冷えきってしまった。住宅街の中に小さな喫茶店があり、思わず駆け込んだ。そこはコーヒーしかおいていないガ…

ハーブティーはイシキタカイ系?

カフェイン断ち! カフェインまみれの生活を見直している。不眠、中途覚醒を少しでも減らしたいのだ。嗜好品のために生活の質が下がるのは本末転倒である。 私はお茶の類、チョコレート、コーラが大好きである。お茶の豊潤な香りと味蕾をくすぐる繊細な味に…

作家志望の人

大学時代の同期が作家を目指している。 秀麗な文体に見るべきところがあるが、唯我独尊、「俺様文学」の傾向があって、なかなか評価されない。 本人は古今東西の文学に関する学識があり、自分こそが文学の正統なる後継者と言ってはばからないから、世間の評…

未来を信じる力

そして未来は、いずれにしろ過去にまさる 上は、ハインラインの小説『夏への扉』の一節だったと思う。心に刻もう。 長引く不景気や少子化・高齢化、過労といった問題を引き合いに、昭和を懐かしむ声を聞く。大勢の人が未来を信じて、希望を持っていた時代だ…

火への憧憬

秋も深まり、朝晩の冷え込みがきびしくなってきた。はやくも暖房器具のお世話になったのだから、軟弱のそしりは免れまい。 エアコンは空気が乾燥するから利用は最低限となる。何よりも火の気がないのが不満である。オイルヒーターは冬の陽だまりのような温も…

宮部みゆき『龍は眠る』

超能力なる非日常を提示するも、すぐにそれを否定する論理を持ち出して、読者もまた語り部と共に迷うところから引き込まれた。超越した能力を持つ者、障害を持つ者、凡人の対比と交流が密なところが本書の魅力であり、ロングセラーとなった所以か。 一方で悪…

破滅型私小説

明治後半から終戦前後まで私小説が一世を風靡した。空想や理想をストーリーに投影するロマン主義を否定し、自然主義の極北を行く小説群と言うべきだろうか。作者の内心を暴露するような内容は、一面で、当時の世相、我が国の経済状況を反映し陰惨な内容とな…

人が倒れても笑う

「こいつ、カエルみてぇ〜。笑える」 などと心筋梗塞で倒れた同僚に言うべきではない。太っていた同僚が倒れると、競りでた腹がたるみ、カエルのように見えたのだろうか。フロアの誰もが笑い、救急車を呼ぼうとしなかった。我に返って救急車を呼び、同僚は一…

秋の夕餉

今夜は雨が降り、この秋、はじめて涼しさではなく寒さを本格的に感じた。 帰宅して風呂を沸かし、子ども入浴。他愛もない話をしておしまい。 夕食は質素ながら暖かく、美味であった。贅沢を言えば切りがないが、いまこの瞬間は幸せだと言える。

読書の日々

先月から取り憑かれたように本を読んでいる。心身ともに疲れているので、あまり頭を使わない軽い本ばかり。以下はそのタイトルと簡単な感想など。 ・竹内誠 図書館キリギリス 双葉文庫 不遇な無職女性が学校図書館で働く物語。本を通じて生徒や関係者にスポ…

見た目は大切

久々にパーティーなどに参加してみた。 いつもはだらしない私服での参加だったが、今回はスーツなどを着ての参加。事前に帰宅して入浴し、髭を剃るなど、珍しく隙のない行動をとってみた。 すると 食事をする暇も無く、次から次へと話しかけられ、本当に料理…

ブログ開設

灰色の日常 いつの間にやら人生への根拠なき楽観が消え去り、日常の輝きも色あせてきたように思われる。加齢のせいかも知れないし、すこし心が疲れて、せわしない日常に麻痺したのかも知れない。 現状にさして不満がある訳ではない。子どもの頃、欲しかった…