森羅万象と夜のしじま

読書、散歩、音楽など。

火への憧憬

秋も深まり、朝晩の冷え込みがきびしくなってきた。はやくも暖房器具のお世話になったのだから、軟弱のそしりは免れまい。

エアコンは空気が乾燥するから利用は最低限となる。何よりも火の気がないのが不満である。オイルヒーターは冬の陽だまりのような温もりがあって好きなのだが、こちらは電気代が余りにもたかくついたので、泣くなく手放した。

石油ファンヒーターは灯油の購入や持ち運び、保管が厄介なので利用せず納戸を占拠している。で、結局のところガスファンヒーターを主に利用することになった。

理想を言えば、薪ストーブでたいして広くもない家全体を温めたいが、薪の確保やら灰の処分などの問題がある。煙道火災となれば家が全焼することもある。ならば、せめて書斎に火鉢でも置きたいが、これも火事の懸念があり、断念している。

理想を言えば、暖炉を前にして安楽椅子にもたれかかり読書三昧の日々を過ごしたいのだが、そういう経済状況からは程遠い。

金持ちの友人が言うには、金があるのは暖房が充実しているようなものとのこと。貧乏人は火の気がない状態だという。最初のうちは、暖かさに感謝するがやがれそれが当たり前となってしまい、ありがたみを忘れてしまうという。

なんとも人間とは業の深い、欲深い生き物だと思う。