森羅万象と夜のしじま

読書、散歩、音楽など。

2017-01-01から1年間の記事一覧

しあわせの香り

子どもの頃読んだ本の挿絵にりんごのオーブン焼きがあった。暖かさや香りが伝わるような美しい絵だったと思う。おいしそうな料理だけでなく、それが供される暖かい家庭がひどくうらやましかったことを覚えている。 当時の我が家は貧乏で、育ち盛りの私は満足…

こわされた日常

家事や仕事に追われつつも、夜は湯に浸かり、好きな音楽や書に親しむ。休みの日となれば、花鳥風月に遊ぶ。雨となれば友と美酒美食等々。 そんな日常がこのところ壊れてきた。 仕事の手を止める人が同時に二人現れるのは想定外である。人付き合いを改めて、…

カフェイン断ち途中経過

カフェイン断ちを続けている。常習していた嗜好品を断ち切ることがこんなに苦しいとは。 ハーブティーなどではとても埋めきれない心の隙間は、食欲の増大を招いている。カフェインがなく食事量が増えたことで眠気もひどい。酒量も若干増えたかも知れない。 …

嫌な女

桂望実著の『嫌な女』を図書館から借りて暇つぶしに読んでみた。テレビドラマになったほどの人気作品、つまり通俗的な作品ではある。あまり深読みしても無意味かも知れないが、いろいろと感想やら疑問が涌く。 破天荒な悪女に振り回される語り部の女弁護士や…

カルトの業

知人がSNSをはじめた。写真は、彼女の子どもの頃の家族写真だった。 一家を挙げてカルト宗教にはまり、彼女だけが脱会した。それ以来、彼女は家族を失った。何を思ってその写真を使ったのだろう。世間で言う真っ当な人生の代償は、家族の絆だった。 人を救う…

コーヒーとウオッカ

雪の日に 都心で雪がちらついた日、私は外回りに奔走していた。朝から出ずっぱりで、終えたのは15時過ぎ。 歩き回っていたのもかかわらず、全身が冷えきってしまった。住宅街の中に小さな喫茶店があり、思わず駆け込んだ。そこはコーヒーしかおいていないガ…